反証

反証を探す目的は、自動思考の間違いを立証することです。このページでは探し方の例を紹介します。

パニック障害を患うCさんは、車の運転中に事故を起こした記憶が蘇る現象に苦しんでいます。

状態
自動車の運転中、事故を起こした記憶が突然蘇る。
気分
恐怖 100%
自動思考
運転中に心臓が止まりそう。このまま死んでしまうかも。
根拠
心臓がどんどん早く打つのがわかる。

Cさんは自動思考に「運転中に心臓が止まりそう」と書きました。根拠は「心臓がどんどん早く打つのがわかる」。心臓発作の兆候が起きることを示しました。

では「心臓がどんどん早く打つのがわかる」の反証を考えます。運転席の隣に友人が座り、運転中のあなたに向かってどんな言葉をかけるかを想像してみました。

バックミラーに写る顔色は運転前と同じです。「心臓発作が起こる前は顔色が青くなるんだって。でもCの顔色は運転前と同じだよ。気にしすぎかもね。」と言うのではないでしょうか。

でも動悸が止まないのはどうしてだろう?と逆に友人に問いかけたら「お昼に濃いコーヒー飲んだせいかもよ?前にも似たような事あったよね。」と返事されるかもしれません。


もう一人の自分にかける言葉は?

このような自問自答は根拠を探す時にも行いましたね。反証でも同じ質問が使えます。

あなたと同じ悩みを持つ家族や友人が、あなたに相談をもちかけました。その時あなたはどんなアドバイスをしますか?
過去の経験の中に、その考えが完全に正しくないと示す出来事、矛盾する出来事はありませんでしたか?
自分の立場と他の人の立場を置き換えてみる。

あなたの親しい人が悩んでいる姿を見たら、きっと励ましてあげたくなります。その気持ちを自分自身に向けてみます。自分への励ましが反証なのです。

第三者の意見も盛り込む

病院で言われたこと、病気について調べたことがあれば、その内容を加味して反証を考えます。

パニック障害で通院中なら「心臓発作ではなく、パニックによる発作だ」と説明された経験があるかもしれません。また心臓発作の予兆は、胸の動悸以外にめまい、むくみ、息切れもあります。

運転中にパニックを感じた時、車の中で音楽を聴いてリラックスしたり、一時停止して動悸を鎮めた経験があれば、立派な「反証」となります。

Cさんは次のように反証を書きました。

状態
自動車の運転中、事故を起こした記憶が突然蘇る。
気分
恐怖 100%
自動思考
運転中に心臓が止まりそう。このまま死んでしまうかも。
根拠
心臓がどんどん早く打つのがわかる。
反証
顔色は運転前と変化がない。
一時停止して休憩したら動悸が弱まったことがあった。

総合的に判断すると、動悸は極度の緊張である可能性が高いです。

このような自問を繰り返して、最初に浮かんできた自動思考を打ち消す事実を集めるのが反証です。進めるうちに不安が徐々におさまっていくはずです。

過去の出来事を思い出す

別の例を見ましょう。テストで100点を取ったのにうれしくないMさんは、反証を考えるうち、お母さんに励まされた経験を思い出しました。

状況
5月21日の夕方、お母さんにテストで100点を取ったことを話した。
気分
恐い90% 緊張50%
自動思考
次のテストも100点を取らないと怒られる。80%
怒られるのは恐い。60%
根拠
85点を取ったことがある理科のテストで、52点を取ったら叱られた。
反証
叱られたのは点数が30点近く下がった時だけ。他の科目で10点下がったときは叱られなかった。
普段の母親は優しい。恐いと感じたことはない。
テストの点数が悪くて落ち込んだ時、母親に励まされたことがある。
     

認知療法を始めたばかりの頃は、反証を考えることがとても難しく思えます。

自分一人でその項目を埋めることが出来なければ、同じ悩みをもつ人、信頼できる友人や恋人に真剣に話を聞いてもらうことも役に立ちます。

そしてアドバイスをもらったら、記憶に留めるだけではなく、紙に書き留めることを忘れないでください。後で見返すと新しい発見があります。それは必ず良い結果を生み出すはずです。

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